12月4日から放送されているサントリーウイスキー『知多』の新テレビCM「僕らのウイスキー篇」。佐藤健の演技をはじめ、早くも話題となっているようですが、そのCM中にチラリとあの名盤のジャケットが映ります

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そう、フィッシュマンズの名盤『空中キャンプ』が小道具に使われているのです。

レコードプレイヤーと真空管のアンプのちょうど真ん中、その下にある男性3人が移っているジャケットが『空中キャンプ』です。

フィッシュマンズは1995年にポリドールに移籍し、その第1作目のアルバムとして1996年に空中キャンプは発表されました。

フィッシュマンズってどんなバンド?

【メンバー】
佐藤伸治 (ボーカル、ギター)
茂木欣一 (ドラムス)

【旧メンバー】
柏原譲 (ベース)
ハカセ (キーボード)
小嶋謙介 (ギター)

【共同作業者(サポートメンバー)】
木暮晋也
ダーツ関口
HONZI

ボーカル、ギターの佐藤伸治を中心として1987年に明治学院大学の音楽サークルのソング・ライツ内で結成。初期のフィッシュマンズはレゲエを基調としたポップな楽曲を演奏していた。しかしオリジナルメンバー2人の脱退や、エンジニアであるZAKのレコーディングへの参加、レーベルの移籍に伴うスタジオ環境の変化などをきっかけに、その音楽性はレゲエの他、ダブ、エレクトロニカ、ロックステディを基調に、ロック、ファンク、ヒップホップなどの要素を取り入れたサウンドを展開した。
ポリドール移籍後の『空中キャンプ』、『LONG SEASON』、『宇宙 日本 世田谷』のいわゆる「世田谷」3部作を発表した時期からテクノ系の雑誌やサブカルチャー系の雑誌にもたびたび取り上げられるようになった。
1999年3月15日、佐藤が死去。これによりバンドは活動を休止する。

※ウィキペディアより

スカパラなどでメンバーは活躍

オリジナルメンバーの茂木欣一 (ドラムス)は現在東京スカパラダイスオーケストラに、柏原譲 (ベース)はポラリスというバンドにそれぞれ在籍しています。

【東京スカパラダイスオーケストラ / 銀河と迷路】

この曲では茂木さんがボーカルも務めています。

 

【ポラリス/光と影】

フィッシュマンズ脱退後、インターバルを経て2000年に柏原譲が元LaB LIFeのオオヤ ユウスケと結成したバンドです。

 

ちなみに、フィッシュマンズの佐藤伸治、茂木欣一と元メンバーの小嶋謙介が在籍していた明治学院大学の音楽サークルのソング・ライツは、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTも出ています。

【ゲット・アップ・ルーシー / THEE MICHELLE GUN ELEPHANT 】

同じく、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTの動画。t.A.T.u.がドタキャンしたミュージックステーションで予定外の曲を急遽熱演。今では伝説になっています(フルの画像が削除されてて、冒頭のみですが)↓

ソングランツには入っていませんが、THE ALFEEの3人、EL-MALOの會田茂一さんも明治学院大学の出身だそうです。そういえば、ロッキンオンの創設者・渋谷陽一さんも明治学院(中退)ですね。

 

『空中キャンプ』の魅力とは?

上にも出てきましたが、95年にポリドールに移籍したフィッシュマンズは、レコード会社とある契約を交わします。

それはアルバム3枚を制作するかわりに、オリジナルのスタジオをつくってもらうというもの。

 

今の時代ではありえませんが、当時でも異例の出来事です。

要求する方も要求する方だけど、売れ線のヒットメーカーでもないバンドに対し、その条件をのむレコード会社もレコード会社です(ちなみに、その交渉にはフィッシュマンズの音づくりには欠かせないエンジニアのZAKがあたったようです)。

 

そして、世田谷に「ワイキキビーチ・ハワイスタジオ」がつくられました。自由にレコーディングできる環境を得た彼らは独自のサウンドを作り上げます。

 

それまでの楽曲と『空中キャンプ』以降とでは、大きく音が変わったとよくいわれます。いろんな変化を指摘することができますが、一聴してわかるのは音数が少なくなったことではないでしょうか(機会があれば、初期の音源と聴き比べてみてください)。

【収録曲】
1.ずっと前 [5:01]
2.BABY BLUE [6:09] 10thシングル。
3.SLOW DAYS [4:41]
4.SUNNY BLUE [5:55]
5.ナイトクルージング [6:02]9thシングル。
6.幸せ者 [4:37]
7.すばらしくて NICE CHOICE [6:47]
8.新しい人 [6:45]

【fishmans / baby blue 】

90年代の邦楽アルバム・第2位に!?

ミュージックマガジン2016年7月号で特集された「90年代の邦楽アルバム・ベスト100」で、『空中キャンプ』は第2位に選出されています(ちなみに、第1位は小沢健二の『LIFE』)。

アルバムの完成度の高さもさることながら、フィッシュマンズの魅力はライブアレンジの凝りようで、本作の「SUNNY BLUE」や「ナイトクルージング」はスタジオ録音とはまた違った魅力があります。

『空中キャンプ』収録曲ではありませんが、「土曜日の夜」という楽曲のスタジオ録音とライブ音源を聴き比べてもらえれば納得していただけるのではないでしょうか。

【fishmans/土曜日の夜】

【fishmans/土曜日の夜 1997.12.12 Live at liquid room】

ちなみに、同特集のレビューのなかに、「(前略)一方、レゲエ/ダブを軸とした折衷的な音楽性と、佐藤伸治のヴォーカルは、今やこの国のポップ・ミュージックの古典。昨年若手トップ・ランナーとしての地位を確立した感のあるceroも、結成当初はフィッシュマンズ・フォロワー的な雰囲気だったり(後略)」とあるように、フィッシュマンズはクラムボンやボノボといったバンドをはじめ、多くのフォロワーを生みます。

このあたりのことはまた枠を改めて書ければと思いますので、詳細はまた別の機会に。

韓国の空中キャンプ

余談ですが、ソウルに「空中キャンプ」というかカフェ・バーがあります。もちろん出自はフィッシュマンズで、フィッシュマンズ好きの韓国人の方々が経営されているようです。

ハナレグミ、空気公団、ボノボなど、日本人アーティストも多数ライブに訪れているようで、「すばらしくてNICE CHOIC」というライブイベントも継続的に開催されています。

ウルにあるカフェ・バー「空中キャンプ」の地図

サントリーCMの特設サイト

サントリーウイスキー『知多』のCMには特設サイトがあり、そこを見ると海の見える丘のうえで暮らしたいと昔から思っていた男性(佐藤健)が、好きなものもにに囲まれるなかで生活し、そのなかの最上の一時としてお気に入りのベランダで『知多』を楽しむという設定のようです。

しかし、この本のセレクトはちょっとカッコつけすぎの気がしないでもない…。
「空中キャンプ」の流れで、内田百閒『阿呆列車』とか、田中小実昌『バスにのって』くらいが上がってたら、わーってなったんだけど、無駄にハイブロウというか、むっちゃ考えてちょっと尖がった感じのセレクトをがんばったんだろうなというのが見え隠れして失敗している感じがします。
(まあ、例えばセリーヌの『夜の果ての旅』とか、ガルシア・マルケスの『族長の秋』とか、こういうのは何を選んでもだいたいちょっとカッコつけた感じが出てしまいそうだけど、翻訳物でいくんだったらサローヤンの『パパ・ユー・アー・クレイジー』とか、ケストナーの『エーミールと探偵たち』とかどうでしょう)。

 

ちなみに、このアナログ盤を立て掛けた感じは、スペシャで流れたライブとスタジオの映像をミックスした「weather report」の『宇宙 日本 世田谷』をスピーカーに立て掛けてる映像へのオマージュと勝手に解釈したんですけど、たぶんちゃうでしょう。
さらにどうでもいい話ですが、このLP盤はオリジナルじゃなくて今年リイシューされたやつですね。

pc180005

▲オリジナルのアナログ盤『空中キャンプ』