NHKドキュメント72時間、今回放送の「キリンが見える散歩道」の舞台は、熊本県のとある動物園が見える公園。昨年4月の地震以来休園が続いており、現在は週末だけ一部入場できるようです。
キリンが見える散歩道
声をかけられ驚くおばさん
撮影スタッフの後ろから声かけられ、驚いて倒れそうになるおばさん。
スタッフの「かわいいですね」って、テロップでは「(キリン)」がついてるけど、発した言葉では主語がないから、おばさんが自分のこと言われてとか数パーセントくらい思ったりしなかったのかと、ちょっとそんなことを思ったりしました。
早朝から詩吟をするおじさん
キリンが見える公園側の散歩道を奥まで行くと湖があります。
そこの夕日が絶景だけど、振り返ると青いビニールシートが点在する復興半ばの街の姿が見えるってシーンがありました。
その湖に早朝訪れ、毎朝詩吟に興じるお父さん。
放送終了間際、エンディングのご存知「川べりの家」が流れてきたときも再びこのお父さんが出てきて、詩吟と歌が一部かぶさっていました。
奥さんに敬語を使うお父さん
ランニングの途中にいつもここに立ち寄って、ぞうさんの鳴き声を聞くのを楽しみにしているというお父さん。
「一人がいい」といい、「奥さんと一緒に来たり?」という質問にも、「いや来ません、来ません」ときっぱりと否定し、ひとりの時間の喜びについて語っていました。
そこへ奥さんから電話が入り、「今あの…ちょっと、また折り返します」としどろもどろになるお父さん。
すかさすスタッフが「敬語なんですか?」と聞き、ええ、まあみたいなお父さんにスタッフが「うちも、そうですけど」って言って、二人してわかりあったように笑いあっていたシーンがちょっとよかったです。
震災がちょっと楽しかったと語る女性
震災のことについて、「怖いって思っている人とかもいっぱいいただけど、私はなんか違ったんですよね」と語る女性。
震災によって家族がひとつの家に集まって、「なかなか、みんなそうやって暮らすときがなかったから、私は楽しかったんですよ。なんかめっちゃ揺れてるんですけど」と彼女。
ご本人も「地震のときに楽しいとか言っちゃいけないのかなとか思ってたけど」とおっしゃってましたが、切り取り方によっては誤解を与えそうな言葉ですが、この感覚はすごくわかるなと思いました。
子どものとき、台風とかが来て大変なことになりそうなときとかでも、なんかその非日常的な感じにわくわくしたことがありました。
曖昧な記憶で恐縮ですが、昔ダウンタウンの松っちゃんも同じようなことを言ってて、「それでいうと、アンネは大変やったと思うけど、その一方ですごくわくわくした感じもあったと思う」みたいなことを言ってたのを思い出しました(アンネは『アンネの日記』のアンネ・フランクです。言葉は正確じゃないと思いますが、だいたいそんな風な意味合いのことを言ってたと思います)
だから、亡くなった人もいるし、自宅とか大きな被害をこうむった人もたくさんいるから、「楽しい」とかは気安く言えないけど、自分も大変な目にあって、現在進行形でいろいろ苦労もあるけど、その結果として普段は日常のあれこれに忙殺されてなかなか集まれず、ゆっくりと会話することもない家族がひとつ屋根の下に集まり、それが状況的に不安になりながらも「なんだか楽しい」という気持ちは、なんだかちょっとわかるというか、すごく人間らしいコメントだなと思って、聞いてて清々しい気持ちになったとうか感心しました。
再放送
「キリンが見える散歩道」の再放送は3月16日(木曜)午前1時~1時25分です。