NHKドキュメント72時間、昨日放送の「夜の森 桜のトンネルで」の舞台は、福島・夜の森地区。
春になると元住民たちが集い、つかの間のにぎわいを見せるというこの地域。今年の4月は“桜のトンネル”の一部の非難指示も解除され、そのニュースを見てやってきたという人も少なくありませんでした。
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分断された街
通行止め
この4月、福島・夜の森地区の“桜のトンネル”の一部(約2割)の避難指示が解除されたそうです。
といっても、実際に足を踏み入れることができるのは一部分のみで、大半がまだ立ち入り禁止。その途中で通行は堰き止められ、行き来が遮断されています。
自然が形成した地形的な問題で領土や地域が区切られるのではなく、人的な理由で何かしらの境界線が引かれるということでいうと、ベルリンの壁、朝鮮半島の38度線などが思い浮かびます。
それらの事例と同様、こういった現実を目の当たりにすると何かしらいびつさのようなものを感じてしまいますが、当然のようにそこに住んでいた人たちはそれまでの生活は一変し、そこにはいろんなエピソードが生まれるわけですが、今回の番組ではそんな普通に暮らしていた普通の人たちのいくつかのお話が紹介されました。
家族が日本と台湾に分断されたお父さんと娘さん
手をつないで歩く姿を見て「ご夫婦ですか?」とスタッフに声をかけられた男女は、お父さんと娘さんの親子でした。
奥さんがタイ人で、震災の後家族4人(ご夫婦と子ども二人)で奥さんのご実家があるタイに非難。
その後、奥さんとお子さん1人はタイに残り、今回登場したお父さんと娘さんが日本に戻ってこられたという。
すごく仲のよかったご夫婦だったようで、そう言った後、「今も(日本とタイに)別れていたとしても仲がいいんですけど」とすぐに言い直されたあたり、ほんとに仲がいいんだなというのが伝わってきました。
絵に描いたようなというと表現が悪いかもしませんが、こんな風に家族が離れ離れになっているというケースも少なくないのかもしれません。
傍から見ている者からすると、もっとベストな方法がなかったのかとか勝手なことを思ったりもしますが、娘さんが言ったように「今はちょっといろんな事情が」あるのでしょう。
それにしても、見たところ娘さんは中学生か高校生くらいかと思いますが、その娘さんがお父さんと腕組みして歩くっていうのは、普通にいい光景ですね。
(それだけでも家族の仲の良さが伝わります)
道路のセンターラインを未来へつながる道に見立てる
元円谷プロのカメラマンだったという70代のおじいさんは、「いくらふるさと離れたとは言っても未練がありますからね」と近年ふるさとに戻り、スチールカメラに風景を収めているという。
この日撮った一枚をスタッフに見せたローアングルの1枚。
道路のセンターラインの白を未来につながる一本道に見立てているそうです。
桜並木の下でプロポーズされたというお母さん
この桜並木の下で、自身が18歳のときにプロポーズされたと語るお母さん。
「恥ずかしい」といいながら、当時の写真を見せてくれました。
それを横で聞いていたお爺さんが、
「これ(桜並木)はきれいだったことは確かですね」と合いの手を入れてくる。
それで終わっときゃいいんですけど、
「それでまあ つい言っちゃったんだろうね」と満面の笑みを浮かべて、うれしそうに話すお爺さん。
てか、その言い方だとちょっと失礼やろw
「これ(桜)はきれいだった」と強調することで、お母さんはきれいちゃうかったんかいというつっこみが発生するし、「つい言っちゃった」って、桜のきれいさに惑わされて旦那さんがついつい言っちゃったみたいなニュアンスで言うてくるし、たぶん悪気はないんでしょうけど、お爺さんなかなかに失礼ですw
せっかく思い出の一枚を持ってきてうれしそうにしゃべっていたお母さんも遠いところを見つめ、心なしか表情も曇ってますww
元に戻したいという気持ち
以前、動物病院を経営していたというお父さん。
自宅兼動物病院の建物に久しぶりに戻ってきて、部屋を片づけるところから始めると語りました。
もうふるさとがここまでの状態になり、震災からも6年以上経ち、もう元には戻らないって気持ちはありけど、でも「戻したいという気持ちはある」とお父さん。
その後、「それを思わないと生きていけないんだ」と二回続けていいます。
どうしようもないけど、どうにかしたい。
どうにかしたいけど、どうしようもない。
けど、だからといって何もしないわけにはいかず、少しずつ、できる範囲内のことからやり始める。
自分の身に降りかかっていないとどうしても他人事のようになってしまいますが、この大変さ、しんどさは並大抵のものではないと思われます。
まとめ
上で取り上げた以外にも、経営していたスナックに久しぶりに足を踏み入れるお母さん、弟さんを何年か前に亡くしたという原発関連で働く男性や、もうダメだから家を壊すと語り、最後の名残を懐かしむようにしていたお母さんなど、さまざまな人が登場しました。
ちなみに、再放送は5月20日(土)午前11時25分からです。