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一口馬主アプリ「DMMバヌーシー」が始動。ジェンティルドンナ全妹、キタサンブラック全弟などを募集馬にラインナップ。

7月10日に発表され、一部で話題となっている「DMMバヌーシー」。

簡単にいうと一口馬主業界にDMMが新たに参入してきたわけですが、既存のクラブと大きく違うのが口数(1万口)で、そのほかいろいろ新しいサービスもあるようなので、ちょっと調べてみました(現状、情報ソースは少ないんだけど)。

大きく分けると違いは下記の3つ。

  • 口数(1万口)
  • リアル競馬ゲーム的に楽しめる仕組み
  • 最初にかかる費用以外、6歳末までお金は支払わない

 

具体的に見ていきましょう。

 ※アイキャッチ画像:DMMが3億7000万円で落札したジェンティルドンナの全妹。
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ダビスタ、ウイニングポストにハマっていた人が企画

「DMMバヌーシー」の事業を統括するのは、DMMとDMMドリームクラブ社で取締役を務める野本巧氏。

学生時代に「ダービースタリオン」シリーズと「ウィニングポスト」シリーズにめちゃくちゃハマっていた同氏が、これが本当のレース、競馬で、自分が馬主だったらもっと感動が大きいだろうのが企画の発端で、「馬主と同じような感動体験の共有」がテーマとなっています。

 

つまり、投資やギャンブルではなくて、よりスポーツの側面を前面に出し、みんなでその勝利や成長の感動体験を共有するのが、一番の目的のようです。

口数は1万口!?

これが既存のクラブとは大きく違う点ですが、口数は1万口と発表されています。

通常は40口の小規模クラブか、大口のところで400~500口が主流です。

【参考記事】

一口馬主のおすすめクラブ

 

それを1000にした、2000にしたとかではなく、10000にしたわけで、確かにこれだとより誰でも参加しやすくはなり、投資ではなく感動の共有という謳い文句とも合致するとは思います。

新馬戦の分配金は500円!?

一方で、実際に一口馬主をやっている身からすると、さすがに口数が大きすぎないか?という疑問というか、懸念も少しあります。

例えば、新馬戦の本賞金は700万円で、馬主の取り分は80%の560万円。

一口馬主の場合、税金のほか、そこからクラブ手数料やら何やら引かれるわけですが、ここではわかりやすくするため、それらを差っ引いて残り500万円になったとします。

 

500口のクラブだったら、それを500で割るので、1口当たり1万円が分配され、一人で2口買っていれば2万円が入ってきます。

1万口の場合は、500万円÷1万口で1人あたり500円ということになります。

 

これが将来的に大活躍して、G1レースを勝ち、賞金が1億円入ってきたとしても、1口あたり1万円で、500口のクラブでいうところの新馬戦の賞金と同じということになります。

 

もちろん、その分リスクは少ないわけで、一概にどちらがいい、悪いはいえないところですが、ちょっとスリルというか、醍醐味は半減するのじゃないのかなと、老婆心ながら思いました。

ゲームに勝るリアルの醍醐味

ただ、野本巧氏がインタビューで語っていたように、ゲームで大きなレースを勝っても確かにうれしいけど、次第に当たり前のようにG1勝つようになったりするし、重賞勝ったくらいでは大きく喜びもしなくなるでしょう。

それが一口とはいえ、実際の競馬の馬主となると、新馬戦や条件戦で勝たないまでも、着を拾ってくれたり、前走に比べて前進した結果を残してくれただけで、よく頑張った!とうれしい気持ちになりますし、何よりケガがなくなってよかったみたいな感じのお父さん・お母さん目線で馬を愛でるようになります。

まして、それが勝利とかした日には、ゲームで勝利してくれたのには比べ物にならないほどの喜び、感動があるのは確かです。

 

実際、僕もダビスタはファミコン時代からやってましたし、ゲーセンのコインの競馬ゲームも好きでした。

でも、あるとき、コインゲームをしていて、「これって、いくら当てたところでコインやん」と思うようになり、本物の競馬に興味を持ち出したという経緯がありますが、実際にコインで何十枚かけるりも、実際の競馬で数百円でもかける方がドキドキしたし、当たったときの喜びも大きかったです。

 

なので、競馬ゲームよりも一口馬主をやりたい。でも既存のものでは出費が大きくて参加できない。という人にとっては、いいサービスになるかもしれません。

(ただ、これは上でも書きましたが、最初はそれでいいかもですが、やっていると賞金の少なさにちょっと不満を覚えるかもしれません)

DMMバヌーシーはリアル競馬ゲーム!?

情熱大陸を手がける制作会社が動画を作成

DMMバヌーシーは、一口馬主クラブではなく一口馬主アプリと銘打たれているわけですが、既存のクラブに比べ、よりゲーム感覚で楽しめるいろんな仕掛けがあるのも特色になっているようです。

 

スマートフォンアプリとwebサイトから利用できるサービスで、アプリ上での馬の購入はもちろん、出資馬のレース結果の確認、入出金記録、牧場や厩舎からの近況動画などを見ることができます。

ちなみに、動画制作を手がけるのは、「情熱大陸」などを手がける制作会社だそうで、クオリティも高そうですね。

 

ただ、「牧場や厩舎からの近況動画など」は既存のクラブのサービスにもあります(クラブにより、中身に格差はありますが)。

例えば、レース前・後の調教師や調教助手さん、騎手などのコメントはメールやHPで確認できますが、レース前に毎回動画で気軽見られるとかなると確かに楽しそうです。

 

ただ、今のところ更新頻度や具体的にどんな動画が見られるのかわかりませんので、既存のものと大きく違わなかったら大した魅力はないし、動画をはじめとする各コンテンツが充実していたら大きなアドバンテージにはなると思います。

 

もちろん、一番は所属馬が活躍してくれることが出資者にとって一番の喜びになるわけですが、近況報告とかは普通にうれしいので、このあたりが充実するとユーザーの満足度は高くなると思います。

(例えば、クラブからの報告以外に、現状ではnetkeiba.comの競走馬の個別ページの掲示板に、「牧場で会ってきました!」みたいな書き込みが貴重な情報源になるわけですが、こういったことが動画付で定期的に流されれば、確かに出資者にとっては有益なサービスになると思います。コストがかなりかかるので、難しいとは思うけど)

現状発表されている動画の中身

牧場はノーザンファーム、追分ファーム、下河辺牧場など6カ所。今後さらに協力していただける牧場を増やしていく予定です。各牧場の紹介動画を作成していて、牧場長や調教スタッフの方に出演していただいています。今後厩舎の方にもご協力をお願いしたいと思っています。それは牧場や厩舎で働くホースマンの姿や、競争馬が生まれてからデビューに至るまでの姿をお届けしたいからです。それは馬主さんや競馬関係者しか見ることのできない世界だからです。

※ITmediaビジネスオンライン 野本巧氏のインタビュー記事より引用

これを見る限り、なかなか楽しそうです。

ただ、牧場紹介とかは1回見ればすむ話なので、競走馬の育成段階からデビュー、引退までにおいて、どのようなコンテンツが配信されるのかが気になるところです。

オウンドメディア化したりすれば面白いかも

DMMバヌーシーにおいては、アプリ画面がメインになると思うけど、それとは別にHPもあって(別にアプリと一体でもいいけど)、オウンドメディア的にクラブの情報を発信したりしてくれたら面白いのにと思いました。

これは別にDMMバヌーシーに限った話ではなく、既存のクラブでも出来るのならやってほしいですが、例えば東サラの場合、不定期にコラムが発信されていますが、よりキュレーションサイト的に競馬に関する多様な記事を発信して、その中には所属馬の近況や、生産・育成牧場、厩舎にかかわらず関わっているスタッフの記事なんかを掲載したら、少なくとも出身者は熱心に読むと思います。

また、そこで血統をはじめ競馬の専門知識を発信することで、初心者の方の教育的な役割を果たせば、メディアとしての意義もより強くなるのではないかと。

 

参加しているシルクホースクラブは毎月会報が届き、そこには調教師やその他スタッフのインタビュー記事なども掲載されていますが、それをネットに上げて、きちんとコンテンツ化すれば資産になるのにとはよく思うし、ネットだと動画をはじめ、より幅広いアプローチができるので、見る方としても楽しめるんですけどね。

(あと、社長のオススメ店みたいなしょうもない企画はなしにして、上で書いたような有意義なコンテンツを配信すれば、出資者はもちろん、普通に競馬ファンも楽しめる媒体になるのではないかと思います)

 

費用の問題もあるかもですが、結果的にクラブの広告、ブランディングにはなると思うし、きちっとしたコンテンツを作れば作るほど、自社の資産としてのメディアの価値は高まると思うので、損はないのではないかなと思うのですが、いかがでしょうか。

 

かかる費用は最初に全部払い、後は賞金を受け取るシステム

一口馬主の場合、馬の購入金額以外に、保険料や次々の育成料や委託料、クラブ会費(3000円ほど)などがかかります(委託料は500口で1頭につき1000円ちょっとくらい)。

DMMバヌーシーでは、それらを毎月徴収するのではなく、6歳末までにかかる費用を暫定的に算出し、出資口数に応じて前払いの預かり金とすることにするようです。

そうすることで、購入時以降の支払いが必要なくなるので、出身者は安心感があると思います。

(購入以降は、賞金や出走手当てに応じて配当金が分配されます)

 

ちなみに、ブログやニュースコメントなどを見ていると、購入資金以外の「経費はかからない」といったことを書いている人がいますが、間違いだと思います。

仮に丸4年間現役だとしたら、厩舎預託料が月60万の場合、それだけでも計2880万円の費用がかかります。

この経費を全部会社持ちとか、そんなことをするわけないので、気をつけましょう。

(仮に経費は支払い不要という場合は、それ相応の料金を募集価格にのっけてくると思います)

 

なお、馬を購入する際の前払い金には預かり金が含まれるので、6歳末よりも早く引退した場合は残っている預かり金が返されるようです。

実際に前払いの預かり金はいくらくらいになるのか?

募集価格が1億円の馬の場合、10000口の1口の価格は1万円になります。

厩舎の預託料は1月60~70万くらい。仮に70万として、1口あたり1ヶ月70円。

ざっくり現役期間が4年間だったとると、48ヶ月×70円で3360円

 

あとは牧場時代の育成費、保険料などがかかってきますが、1万口もあれば1口の費用はたいしたものにはならないので、上の預託料とあわせても、1頭につき5000~6000円くらいではないでしょうか。

 

なので、馬の購入価格+5000円くらいが最初に払う金額になるのではないかと思われます。

何口まで応募できるのか

これに関しては詳細はまだ発表されていません。

ちなみに、20口行けば、割合としては500分の1の出資と同じ比率になります。

 

なので、普段400口、500口のクラブに所属し、こちらのクラブにも興味がある場合、それくらいの割合で権利を買うと、同じ感覚で楽しめるかもしれません。

ただし、上で書いたようにDMMバヌーシーの場合、最初に預かり金のカタチで費用をまとめ払いするので、1口1万としても20口いくと20万と、1頭につきそこそこまとまったお金が必要になってくるので注意が必要です。

募集馬ラインナップ

ジェンティルドンナも全妹が話題

目玉となっているのは、リアルスティールの全妹とジェンティルドンナの全妹、そしてキタサンブラックの全弟。

競走馬の競り市セレクトセールで、先日下記の値段で落札されています。

  • リアルスティールの全妹…1億6000万円
  • ジェンティルドンナの全妹…3億7000万円
  • キタサンブラックの全弟…1億4500万円

ここに通常はクラブが手数料的に価格を上乗せするので、落札価格より少し高い目の値段が募集価格になると思います(例えば、上から2億、4億、1億7000万とか)。

 

まあ、上の3頭は採算度外視で、新サービスの目玉的にクラブ側も購入したと思いますが(実際、ネットニュースなどにも取り上げられ、作戦は成功しています)、出資者から見ても、これらの馬に出資しても、確立からいうと投資目線ではマイナスになる確率の方が圧倒的に高いでしょう。

投資として出資するのは危険

4億円以上稼ぐ馬がまず稀な存在ですが、そんな馬はG1を2、3つ勝つような馬で、めったに出会うことができません。

 

ジェンティルドンナの全妹でいうと、ジェンティルドンナの下には今回DMMが買い上げた馬以外に同じく父ディープインパクの全弟・妹の馬が3頭います。

 

2012年産 レゲンデ(牡)2戦1勝(登録抹消)
2014年産 ベルダム(牝)3戦0勝(登録抹消)
2015年産 ヴィルトゥース(牝)デビュー前

 

全妹のベルダム、ヴィルトゥースはジェンティルドンナ同様サンデーレーシングから募集され、募集価格は8000万円。

これから見ても3億7000万円という金額がいかに大きいかがよくわかります。

 

ちなみに、ベルダムは獲得賞金ゼロで引退。

ヴィルトゥースがこれからどれだけ活躍するかわかりませんが、上がどれだけ歴史的な名馬であっても、まったく同じ血統の弟や妹がまったく走らないということも競馬ではよくあることです。

 

一方で、その逆もしかりで、姉がダメだったけど、妹が一変して活躍したというケースも少なくありませんが、いずれにしてもジェンティルドンナ・キタサンブラック級の活躍は10~20年に1頭くらいの戦績なので、それ基準に考えるとかなり厳しい結果になると思います。

(母のドナブリーニは2003年産で、16年産ということは母13歳時の子供ということで、まだ大丈夫な年齢ですが、一般的に母馬が高齢になればなるほど、強い馬は生まれにくくなるとされています)

DMMバヌーシーの名前の由来

結論からいうと、マラソン選手のハーリド・ハヌーシさんから取られたみたいです。

インターネットでモロッコ出身のマラソン選手のハーリド・ハヌーシさんの記事にたどり着いたんです。マラソンの当時の世界最高記録を3度も更新したヒーロー。マラソンというと長い距離。日本ダービーと菊花賞は長い距離。ハヌーシ選手のように長い距離を最も速く走るスターになってほしいという思いと、「馬」をかけて、「バヌーシー」という造語をサービス名にしました。

※ITmediaビジネスオンライン 野本巧氏のインタビュー記事より引用

 

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まとめ

既存のクラブになかったやり方、サービスということで、その点は一競馬ファンとして面白いと思いますし、興味もあります。

現在はシルク、東サラで一口馬主をしている身で、そもそもが投資目的ではなく趣味の一環として、出資金がトントンくらいになればなという感じでやっていますが、出資馬がレースを勝ったりして月に数万円とか入ってくると、やっぱりうれしいですし、応援のしがいもあります。

 

そのあたりを度外視するにしても、やっぱ勝利しても数百円しか入ってこないというのは、個人的には微妙だなと思います(口数増やせば解消できる問題ですが、最初にまとまったお金がいるという新たな問題も)。

 

一方で、アプリのコンテンツが充実していれば、それはそれで魅力的なサービスかなとも思います。

なので、あくまで投資目的ではなく、DMMバヌーシーがいってる「馬主と同じような感動体験の共有」を第一義に考えて参加するのはアリかと思います。

 

ちょっと言い過ぎかもしれませんが、ネットゲームで課金する感覚で、1万円払ってリアルな競馬ゲームを楽しむくらいの気持ちでやれば、けっこう楽しいかもしれません。

 

いずれにしても、これで競馬ファンや一口馬主の裾野が広がればいいですね。

サービス開始は7月29日か、8月5日が予定されているそうです。