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横浜のローズが好きだった安室奈美恵のsweet 19 blues。引退宣言で思うこと。

 

先週、安室奈美恵の引退宣言があり、ワイドショーなどでもいろいろ報道されています。

 

そんな安室奈美恵引退宣言について思うところを書こうかと思うんですけど、特に声高らかに発言するようなこともないで、「安室奈美恵」と聞いて思い浮かびあがる個人的なお話を書いてみます。

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安室奈美恵は横浜ベイスターズのローズの好きだった歌手

最強助っ人として神のように崇められていたローズ

ローズってなんやねん、って思った人のために書いておくと、横浜ベイスターズに在籍し、90年代に大活躍したロバート・ローズ選手です。

 

知らない人のために一応いっておくと、史上稀に見る優良外国人選手で、横浜ベイスターズファンからは神のような存在として崇められていました。

(これは誇張表現でもなんでもなくて、熱狂的な横浜ファンの人にとっては当たり前のことというか、まあ阪神でいうところのバースみたいな存在)

http://www.nicovideo.jp/watch/sm7664762

 

というか、僕もローズは大好きでした。

アメリカ人ですが(イタリア系かな?)顔もかっこいいんですけど、何せよく打つ。

 

153打点をあげた99年は、ほんと得点圏で回ってきたらほとんどヒット打ってたような印象で、ファミスタかよ!っていうくらい、ほんとよく打ってました。

(僕は主に阪神戦を観てたので、よけいに打たれてた印象が強いかもしれません)

 

んで、一般的に外国人ってファーストか外野、せいぜいサードがほとんどですが、ローズは守備の要であるセンターラインの一角のセカンドを守り、守備もけっこう上手かった。

 

静かそうなたたずまいも含め、全体的に好印象な感じで、一野球ファンとして僕も大好きな感じでした。

(助っ人でいうと、ブラックス、ローズのコンビは最強な感じでしたね。ちょうど僕が高校生のときでした。ついでに言っておくと、僕は安室奈美恵と同い年です)

 

つーか、いま無理からのように安室奈美恵の名前出したけど、タイトルに「引退宣言で思うこと」とか書いといて、ローズの話ばっかりやんけって思った人がこれを読んでいる人で3人くらいいるかもしれませんが、一休さん風にいうと「あわてない、あわてない」ということで、本題はこれからです。

 

ローズが一番好きだった日本の歌が、安室奈美恵のsweet 19 bluesだったんです。







安室奈美恵のsweet 19 bluesが好きだったローズ

ソースは保坂和志の小説『カンバセイション・ピース』。

カンバセイション・ピース (河出文庫) [ 保坂和志 ]

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 (前略)安室奈美恵の『スウィート・ナインティーン・ブルース』はローズの大好きな歌なのだ。

優勝したときの雑誌のインタビューで知ったことだから、あれから二年のうちにもっと好きな歌ができているかもしれないが、情報がないからしょうがない。何とも感傷的な歌詞だけれど、ローズが好きだと知ってから私も好きになってしまった。大峯もそうだ。それにローズだって日本語の歌詞の意味までいちいち考えたりしていないだろう。でもメロディを聞くだけでダイナミックな歌詞じゃないことぐらいは想像がつくだろうが、ローズの心根はきっとセンチメンタルなアメリカ人なのだ。前川が聞いてきたことがもし本当だったら、この歌をローズのために歌うことは来年になったらもうできない。

※保坂和志『カンバセイション・ピース』より

横浜ベイスターズが優勝したのは1998年で、「あれから二年」とあるから小説の時間設定は2000年で、この年のシーズンオフ、ローズは球団といざこざを起こし、電撃的に引退することになります。

 

引用部分の最後にある「前川が聞いてきたことがもし本当だったら、この歌をローズのために歌うことは来年になったらもうできない」という「前川が聞いてきたこと」は、

「ローズは今シーズンかぎりで引退」という情報で、それが本当だったら、『スウィート・ナインティーン・ブルース』をもうローズのために歌うことはできないということです。

 

で、小説ではこの引用部分の少し前に『スウィート・ナインティーン・ブルース』を歌う場面があって、僕はこの場面が誰になんと言われようと大好きで(わかんないけど、なんか泣きそうになる)、

そこも引用しようと思ったんだけど、今ちょっと読み返してみて、ローズの引退情報を主人公が聞くシーンもよかったので、そこも書き写してみます。

 

その前に、簡単に解説しとくと、基本的にここに出てくるのは横浜ベイスターズファンで、中でも前川ってのが情報通で、横浜スタジアムのライトスタンドで試合を観戦しながら、

「谷繫情報」としていろいろ主人公たちに最新の情報を提供します。そして、「最大の谷繫情報!」としてもたらされたのが、先のローズ引退の話題でした。

「最大の谷繫情報!」

「何だよッ」

と言って、私はグランドに顔を向けたまま、前川の方に体を傾けた。前川が左手を口に添えて言った。

「ローズは今シーズンかぎりで引退」

私は前川に顔を向けて、キスするくらい顔を近づけた。

「ホントかよ」

駒田なんか見てる場合じゃなかった。

「谷繫情報の又聞きだよ。あくまでも。

引退で、背番号23は永久欠番」

去年のシーズン途中の、突然の引退発表を思い出した。こんな大事なことをどうして前川はすぐに言わなかったんだと思った。大峯は、

「元祖満塁ウマオトコ! 一発ここまでブチ込んでくれェ! 一発奥まで、ウ・マ・ダ! 奥までグサリと、ウ・マ・ダ! 太いの奥まで、ウ・マ・ダ!」

と、律儀に駒田に野次みたいな声援を送っていた。すべての横浜ファンはローズのファンであり、すべての横浜ファンが去年の途中から「これがローズを見られる最後のシーズンか」と、毎試合万感こみあげる思いでローズの打席と守備を見たものだったが、引退を撤回してくれたことで、今年どころか来年も再来年も、ずうっとローズがいてくれるものだと思っていた。前川がすぐに言わなかったのは、それを否定したいという無意識の願望によるものだったのかと思ったが、そんな紋切り型の解釈をしていたらバカな心理学者と同じことになってしまうと思い直した。

前川はたんに谷繫情報を信じていないのだ。自分が将来監督になると思ってるような、現実認識の狂ってるヤツの言うことを信じられるだろうか。駒田はぼてぼての一塁ゴロだったが、ライトスタンドでは誰も失望しなかったというか、むしろ予想どおりだった。次の谷繫にもみんなたいして期待していない。

「毎試合万感こみあげる思いでローズの打席と守備を見たものだった」というのを読んで、んな大げさなと思った人もいるかもだけど、

野球選手に限らず、音楽でも映画でもなんでも、本当に自分が大好きなアーティストや選手、俳優なんかのライブや演技、パフォーマンスを見たら泣かないまでも心を振るされるような何かは感じるはずで、

ましてそれが引退や解散ライブとかだったりすると、万感こみあげる思いにもなると思います。

 

で、前振りが長くなったけど、『スウィート・ナインティーン・ブルース』を歌うシーンは、この「ローズ引退」という衝撃的なニュースをもたらされ、権藤監督が解任され、後任に元西武監督の森が来そうだけど横浜に森の管理野球があうのかよみたいなことをつらつらと考えたり、話したりしている中、この日の試合は広島にボコボコにされて、っていうところの次のシーン。

 六回表に六点目を入れられたけど、そこで帰らずにファンがスタンドに残っているのも、「勝つかもしれない」と、まだどこかで期待しているからだ。テレビで見ていたらもうスイッチを切っている頃だろうが、スタンドにいたらこの程度ではまだあきらめない。球場に来ないでテレビだけ見ているなら、「大洋らしく」でも「横浜らしく」でも勝手な思い込みを口走っていられるが、球場にいたらそんな悠長なことを言う気になれない。広島の攻撃がツーアウトまで来たところで、大峯が突然立ち上がって紙コップをくりぬいたメガホンで歌いはじめた。

「スウィート、スウィート、ナインティーン・ブルース

だけど私も、ホントはすごくないから

スウィート、スウィート、ナインティーン・ドゥリーム

誰も見たことのない顔、誰かに見せるかもしれない

スウィート、スウィート、ナインティーン・ブルース

スウィート、スウィート、ナインティーン・ブルース

スウィート、スウィート、ナインティーン・ブルース

スウィート、スウィート、ナインティーン・ブルース」

まわりはみんな、わけがわからない顔をしていた。さっきからずうっと一人で勝手に野次りまくっているオヤジのことだから、もう無視しているしかなかったのだろうが、大峯のバカバカしくもクソ真面目な根性に感動して、途中から私も立ち上がって歌わないではすまされなくなってしまった。安室奈美恵の『スウィート・ナインティーン・ブルース』はローズの大好きな歌なのだ。

さっきも書いたけど、僕はこのシーンが大好きで、機会があるごとに友だちにそのことを伝えてきたんだけど、そんな機会があったのはこれまでに2回くらいで、だから2回くらいしかそんなことを言ったことはなんだけど、なんにしてもこのシーンが大好きです。

 

これ、どこがいいシーンやねんと思う人もいると思うけど、まあそれは人それぞれということで、そうじゃない人への説明まで考慮して話をしていたら話が前に進まないので、次へいきます。

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「ローズ引退の話」とまで言い切った保坂さん

てか、保坂和志のことを知らない人は、これどんな小説やねんって思ったかもですが、野球の話ばっかしてるわけではなく、むしろ野球の話は全体の数パーセントなんですけど、

ただ保坂さんの小説は「こういう小説です」って要約をこばむような小説なので、端的にこんな話なんですって書きにくいんですけど、僕は大好きです。

(保坂和志の小説の一番好きなの挙げろっていわれたら、僕はこの『カンバセイション・ピース』と『プレーンソング』もしくは『季節の記憶』を挙げるんですけど、一番って1つちゃうのかよって話になるから、しょうがなく『カンバセイション・ピース』を一番にする感じです)

 

ただ、保坂さんはほぼ日の糸井重里との対談で、『カンバセイション・ピース』は「ローズ引退の話」と語ってます。笑

 

これの第16回の「ベイスターズファンの神」ってやつ参照。

>> カンバセイション・ピース。保坂和志さんの、小説を書くという冒険。

 

これ、いきなり知らない人が聞いたら誤解与えそうなんだけど、あながち適当には言ってないというか、たぶん保坂さんは本気で、そんなふうに言ってしまう感覚というか感じはすごくわかるんだけど、でもやっぱ一般的には誤解与えそう^^;







最後に

安室奈美恵の引退宣言に関するお話なんですけど、大半が横浜ベイスターズのローズの話、プラスそっから派生した『カンバセイション・ピース』の話やんけ、どうしてくれるねんと怒られそうですが、安室奈美恵の楽曲でいうと僕は「walk in the park 」が一番好きです。

佐藤伸治の影響か、ウォーキン・ソングが好きな感じで。

 

なんかぐるぐるしたやつが出てくる(確か記憶ではそんなんだったと思うんだけど)この曲のPVが好きだったんでだけど、基本的にyoutubeではPV関連全部削除されてますね。

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あと個人的な思い出でいうと、むかし兄貴の結婚式で、「CAN YOU CELEBRATE?」が入場かなんかのときに流れて、

またベタなJ-pop流しよってからにみたにちょっとバカにした感じに思ったんだけど、なんか途中で涙が出そうになってた自分がいて、やっぱ、いい曲なんだなあとそのときに思ったりしました。