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白毛のブチコが引退。繁殖に。

白毛に斑(ぶち)模様の特徴的な外見で人気を博したブチコ(牝5歳、栗東・音無秀孝厩舎)が19日、現役を引退することがわかりました。

今後は北海道のノーザンファームで繋養され、繁殖生活に入るようです。

画像元:

白毛とは? サラブレッドの毛色の種類。

サラブレッドには鹿毛、黒鹿毛、青鹿毛、青毛、栗毛、栃栗毛、芦毛、白毛の8種類が(公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルに認められています。

そのほか、佐目毛、河原毛、月毛(パロミノ)、白毛、粕毛、薄墨毛、駁毛があり、細かく分類していくとその数は100種類以上になるそうです。

画像出典:JRAホームページ「サラブレッド講座 毛色の種類と芦毛伝説」より。

 

上記の写真で、芦毛と白毛の色が似ていますが、芦毛は生まれたころは黒っぽいというか、グレーっぽい色をしており、年齢を重ねるごとにどんどん白くなっていきます。

 

オグリキャップやメジロマックィーン、ビワハヤヒデ、近いところではゴールドシップなど、やっぱり白い馬はかわいいのか人気が出やすい感じです。

(もちろん、強いことが必須条件ではありますが)

 

その芦毛よりも希少で、話題になるが白毛です。上のJRAのページにも書かれているように、その発現の仕組みは十分解明されていません。

ブチコの斑模様

突然変異的に生まれる白毛馬ですが、ブコチは真っ白な体の中に黒の斑模様があり、その牛さんみたいな外見がまた愛嬌があって、デビュー時から人気者でした。

 

そして競争成績もなかなかのもので(4勝)、単にかわいらしいだけではなく強さも併せ持っていたのですが、年齢とともに気性難が激しくなって、

レース前にゲートをくぐって逸走するなど、2レース連続で除外などの不名誉な記録もつくっています。

 

その気性難がついに解消されなかったようで、今回の引退の直接の原因になったようですね。

 

で、ブチコの人気の秘密はその名前にもあると思います。この外見で「ブチコ」なんで、当然人気も出るでしょう。

名付け親はいわずとしれた金子真人オーナーです。ブチコに限らず、とにかく馬名のセンスがいい。

金子真人オーナーのプロフィール

金子 真人(かねこ まこと、1945年3月15日 – )は、日本の実業家、馬主。株式会社図研の代表取締役社長、ハワイの会員制ゴルフ場「キングカメハメハ・ゴルフ・クラブ」のオーナーなどを務める。

機械メーカー勤務を経て、1976年に電子機器設計・製造関連ソフトウェア開発を主とする図形処理技術研究所(後の図研)を創業。一介のベンチャー企業から1994年には東証一部上場を果たし、CAD/CAMシステムを手がける企業として国内最大手の存在に成長させた。競走馬の馬主としても知られ、中央競馬で「七冠」を制し殿堂入りしたディープインパクトなど数々の活躍馬を所有。個人馬主としては初の記録である旧八大競走完全制覇を達成している。

※ウィキペディアより

競馬ファンの間では知らない人はいないんじゃないかというくらい有名な馬主さんです。

競走成績はもちろん種牡馬としても大活躍しているディープインパクト、キングカメハメハ、同じく種牡馬としても活躍しているクロフネ、牝馬三冠を達成したアパパネ、近年ダービーを制したマカヒキ、ワグネリアンなど、「リアルダビスタ」と称されるくらい、奇跡的に多くの活躍場を所有しています。

 

その相馬眼もさることながら、馬名のネーミングセンスも抜群で、上述した名馬たちのほか、トゥザヴィクトリー、デニムアンドルビー、ピカレスクコートなど、どれもこれもかっこいい。

ちなみにクロフネは、これまで日本ダービーに出走できなかった外国産馬の門戸が開かれた1年目に3歳(ダービー出走年齢)を迎えた馬で、外国産馬の門戸開放をペリーの黒船になぞられてつけられた名前です。

(で、実際にダービーに出走するところがすごい。ちなみに、このとき勝ったのが角田晃一騎乗のジャングルポケット。名前はクロフネだけど、馬体は芦毛で、いまや真っ白です)

 

あとはキングカメハメハをはじめハワイにちなんだネーミングも多く、カネヒキリ(ハワイ語で「雷の精」)、アパパネ(ハワイに生息するアカハワイミツスイ)、マカヒキ(ハワイの収穫祭)、ウリウリ(ハワイの楽器)、ホオキパウェーブ(ホウキパはハワイ・マウイ島の有名なサーフポイント)など、こちらも全体的にいい感じです。

 

個人的には、サッカーボーイ産駒のブルーイレブンというネーミングがけっこう好きでした。

白毛のシラユキヒメ一族

その金子さんが白毛馬を購入したときに付けた名前がシラユキヒメ。

そのシラユキヒメから生まれたのがブチコですが、兄弟姉妹も全部金子さんが所有。

名前は以下の通り(カッコ内はお父さんの名前)

2014 年 シロニイ 牡(キングカメハメハ )
2012年  ブチコ 牝 (キングカメハメハ )
2011 年 マーブルケーキ 牝(キングカメハメハ )
2010 年 ブラマンジェ 牝 (クロフネ) 
2009年  マシュマロ 牝(クロフネ) 
2008年  シラユキヒメの2008 牡 (クロフネ) 
2007年  ママズディッシュ 牝(クロフネ) 
2005 年 ユキチャン 牝(クロフネ) 
2004 年 ホワイトベッセル 牡 (クロフネ) 
2003年  シロクン 牡 (ブラックホーク )

ママズディッシュ以外全馬が白毛というのもすごいですが、父親も全馬金子さんが所有していた馬っていうのもすごい。んで、これみよがしに可愛らしい名前がついています。

 

白毛は突然変異で生まれるといわれていますが、シラユキヒメの仔が1頭を除いて全馬白毛ということで、遺伝としてその毛色を伝え、白毛系統を形づくっているのもすごいですね。

(2015年に産まれたキングカメハメハ産駒は鹿毛だったみたいです)



シラユキヒメ→ユキチャン

ユキチャンの仔がシルクにやってきた!

ちなみに、シラユキヒメの第3仔のユキチャンの子ども、すなわちシラユキヒメにとっては孫に当たる女の子も白毛でした。

そして、その馬は金子さんの所有ではなく、なんと一口馬主クラブのシルクホースクラブで募集がかかったのです(父親はハービンジャー)。

 

僕は出資しませんでしたが、当然のように大人気だったのですが、馬名が決まった後、ちょっとした問題が起こりました。

 

ちなみに、クラブ馬の馬名に関しては、各クラブによっても多少の違いはあると思いますが、年内に出資が確定した人から馬名を募り、クラブのスタッフがその中から最も良いと思われる馬名を選び、登録するというのが一般的な流れです。

馬名はシロインジャーに

で、結論からいうと、シロインジャーという名前で登録されました。

毛色の「白」と、父親ハービンジャーの語尾をつなぎあわせ、日本語のダジャレ的な響きになっている感じですが、正直これを選んだクラブのスタッフのセンスを疑いました。

 

上述したように、馬名は出資者の応募で決まります。応募した人に関してとやかく言うつもりはありません。

ルールとして、どんな名前を送ろうがその人の自由だからです。しかし、それを選ぶ運営側の人間はもう少しきちんとしてほしい。

 

たぶん、ダジャレみたいでちょっと面白い的な発想で選んだのでしょう。

本人は否定するかもですが、その根底にあるのは「ふざけた気持ち」であるように思われるわけで、そんな安直なノリで決めてしまうのは、ちょっとどうなんだろって感じです。

(しかも牝馬なだけに、なおさらかわいそう)。

血を受け継ぐ=血統表に名を残すということを考えてほしい

そもそも競馬というのはブラッドスポーツと呼ばれるくらい「血」がかなり重視され、一般的にはその血統表が5代前まで遡って明示されます。

牡馬の場合、大活躍しないと種牡馬にはなれませんが、牝馬の場合、大抵は引退後に繁殖に上がります。

 

つまり、牝馬は血統表に名前を残す確立が牡馬に比べて圧倒的に高いわけです。

その観点からも、シラユキヒメ→ユキチャン→シロインジャーというつらなりは、やっぱりちょっと悲しい。

白毛の愛らしいイメージも壊滅していますし。

 

というわけで、金子さんのようにしろとはいわないけど、シルクの運営の人はもうちょっと考えてもらいたいと思います。

(同じクラブでも、サンデーレーシングや社台、キャッロットクラブのネーミングセンスはいいんですよね)

 

それと、ブチコお疲れさまでした。そこからまた白毛の斑柄が産まれてきたら楽しいですね。