ここ数日、各方面で話題となっている『新潮45』の「杉田水脈論文特集」。
とくに問題となっているのが、小川榮太郎氏の論文(というかエッセイ)で、SNSを中心に大炎上しています。
ついには、地上波の報道ステーションでも取り上げられる始末で、一部で新潮社の本の不買運動にも発展している模様。
新潮社長の「常識を逸脱した偏見」との談話も発表されました。
(謝罪コメントはなし)
CHECK! >> 新潮社社長、「新潮45」の特集に「常識逸脱した偏見」 談話発表も謝罪なし
というわけで、各方面の反応をまとめてみました。
「新潮45」杉田水脈論文特集 各方面の反応
新潮45 著名人のコメント
Twitter上だけでも、数多くのコメントがあがっています。
その中のいくつかをご紹介します。
「常識逸脱」、「偏見と認識不足」という新潮社のコメント。
ぼくを含め、多くの人がずっと「これはまずいよなあ」と思いながら我慢したり、沈黙していたことが、今回の『新潮45』の件で、限界を超えた感がある。
新潮社の最良の部分は、変わらずあるんだから、そちらに立ち返ってほしいと希望する。— 茂木健一郎 (@kenichiromogi) 2018年9月21日
新潮社の友人からメール。社内の動きについてお知らせ頂きました。新潮社出版物への不買運動まで始まった以上、品位ある出版社という評価を守りたいなら、謝罪の上、『新潮45』は廃刊するのが適当でしょうとご返事しました。
— 内田樹 (@levinassien) 2018年9月22日
『新潮45』、小川榮太郎氏の寄稿の一部。慄然とする。
「満員電車に乗った時に女の匂いを嗅いだら手が自動的に動いてしまう、そういう痴漢症候群の男の困苦こそ極めて根深ろう。再犯を重ねるのはそれが制御不可能な脳由来の症状だという事を意味する。彼らの触る権利を社会は保障すべきでないのか」 pic.twitter.com/rJqmyYRvop— 武田砂鉄 (@takedasatetsu) 2018年9月18日
新潮45だけでなく、新潮社の本、一切の不買運動が始まった。自主的な運動なのでこれは止められない。消費者、読者、書店、執筆者、取次、等々が、徹底して抗議の不買運動を展開することで、新潮45今月号の自主回収、小川榮太郎と杉田水脈を伴った謝罪会見、新潮45の自主廃刊にまで至ることを望む。 https://t.co/KCLXVgPyj8
— 岩上安身 (@iwakamiyasumi) 2018年9月20日
話題の「新潮45」の「杉田水脈論文擁護特集」をじっくり読んだ。読むんじゃなかった……。小川論文とか、これ、「公衆便所の落書き」じゃん。こんなの読ませるなよ、読んでる方が恥ずかしくなるから! あと、事実でおかしいところが散見されたのだが、最強の新潮校閲部のチェック入ってないの? 謎だ。
— 高橋源一郎 (@takagengen) 2018年9月19日
『新潮45』編集部は、新潮文庫で『仮面の告白』を読んでみたらどうか。読者として、新潮社の本で僕の人生は変わったし、小説家としてデビューし、代表作も書かせてもらった。言葉に尽くせない敬愛の念を抱いている出版社だが、一雑誌とは言え、どうしてあんな低劣な差別に荷担するのか。わからない。
— 平野啓一郎 (@hiranok) 2018年9月19日
「新潮45」の杉田文章や擁護文章、明らかな事実誤認や論理矛盾などが多く見られるので、社内から「新潮校閲部がガチでチェックした赤入れver」とか出してくれないかなぁ。それで問題点が随分と共有されると思うんだけど。一部はラジオで勝手に指摘しました。 https://t.co/w9V34cKn5N
— 荻上チキ (@torakare) 2018年9月19日
新潮45に対し、笙野頼子さんと共に抗議します。
「私たちは抗議する」笙野頼子・北原みのり@minorikitahara|note(ノート) https://t.co/nMgnZQj2ks— 北原みのり (@minorikitahara) 2018年9月20日
良心に背く出版は、殺されてもせぬ事(佐藤義亮)
長く続く出版社同士。もちろん、時代時代で変わっていく、変わらない訳にはいかないけど。良心に背いても、いいことないぜ、きっと。
ほにゃく課は、新潮社出版部文芸@Shincho_Bungei と同じ気持ちです。 https://t.co/5ckhsHuwqS— 河出書房新社 翻訳書 (@kawade_honyaku) 2018年9月19日
新潮社の本を撤去する書店も
自民党の杉田水脈衆院議員が同性カップルを念頭に「生産性がない」などと月刊誌「新潮45」で主張した問題に関連し、和歌山市の書店が、新潮社の新刊本の販売を当面取りやめる方針です。店主らは「言葉の暴力が一線を越えている。問題提起したい」と話しています。 https://t.co/swBnKbJlMb pic.twitter.com/RFoPLXSn13
— 朝日新聞(asahi shimbun) (@asahi) 2018年9月21日
「性的マイノリティの方々への侮辱的で、あまりに酷い言葉の暴力が展開されていることは、とうてい看過できません」。。→新潮社の本、書棚から撤去する書店も。「新潮45」の寄稿に怒りの声 https://t.co/LLBUZANX3o
— 長野智子 (@nagano_t) 2018年9月21日
熟慮の末、新潮社の新刊については当面仕入れを見合わせる事にしました。『新潮45』について、出版部文芸を始め社内でも忸怩たる思いを抱えている人たちがいるのは承知していますし、当店が販売を止めても何のダメージにもなりませんが、そう決断する本屋がいくつかはあっても良いだろうと思います。
— 谷中・ひるねこBOOKS (@hirunekobooks) 2018年9月19日
ひるねこBOOKSさんはお伺いしたことがありますが、店主の小張さんは人柄の良い、穏やかな雰囲気の方です。
その決断と表明は勇気のいるものだったと思いますが、リツイートにも書かれたように、
「多様性」と意味において、そういった声をあげる本屋さんがあってもいいと思います。
小川榮太郎氏の反論
YouTubeにご本人が反論のメッセージをアップされていました。
反論している物書きの人に向け、「きちんと論難して、紙で応酬しようじゃありませんか」と怒っておられます。
要は、物書きであるなら、ちきんとした論文などで、論理的に論破しろということみたいですね。
どちらの肩を持つわけではありませんが、「自分の論文がきちんと読まれてない」って嘆いてるんだったら、それこそ慌てて動画上げてないで、論文書けよってちょっと思ったんですけど、それは違うんでしょうかね。
ちなみに、この小川氏の反論を受け、名前をあげられた「物書き」の方で反応されている方もおられます。
〝文藝評論家〟の小川氏が、それでも自分を支持してくれる声が集まるFacebookで「反論があれば『きちんとした文章』で反論してください」として名前を列記し、そこに自分も含まれておりますので、お望み通り、「文學界」の次号連載にて、「きちんとした文章」で書きます。以上です。 pic.twitter.com/js5PfJfXEy
— 武田砂鉄 (@takedasatetsu) 2018年9月20日
小川榮太郎氏のFB投稿で「暴言」や「恫喝」をした一人として名前をあげられました。どんな理由で私の記事を「暴言」や「恫喝」などと評価なさったのか、この文章ではよくわかりませんが、今後も杉田議員の寄稿に関連して複数記事を出すべく準備中です。少しでも理解を深めていただけたらと願います。 pic.twitter.com/IO2leGzWQg
— 岩永直子 Naoko Iwanaga (@nonbeepanda) 2018年9月21日
さいごに
「新潮45」のTwitter公式アカウントが、今回の論文に関する反論を次々リツートするという動きもありました。
(現在は削除されている)
これは、今回の『新潮45』の内容に疑問を感じている新潮社の社員の方が、せめてもの反論ということで、公式アカウントによるリツイートを敢行したようです。
このように、内外から批判を受ける今回の「杉田水脈論文特集」号ですが、今後さらに論争が発展するんでしょうか。
(個人的には、この論争の発展は期待してないというか、もういいんじゃないかなと思ってるんですけど)
あと、文学が好きな人で新潮社を嫌いな人はほとんどいないと思うし、僕も好きな出版社です。
良識のある編集者の方もいるというか、ほとんどがそういった方だと思うので、今回の騒動に負けず、これからもいい本をいっぱい出してほしいですね。