久しぶりにお正月映画として戻ってきた、『男はつらいよ お帰り 寅さん』が好評です。
同作品は過去の映像を使い(登場人物が過去の寅さんを振り返る)、「その後」の寅さんの登場人物たちを主軸とした新作映画です。
そんな『男はつらいよ お帰り 寅さん』同作のアイデアの出所が、現代アートの巨匠として世界的に有名な横尾忠則さんで、「アイデアを盗まれた」とちょっと騒動になっています。
横尾忠則が山田洋次監督に激怒!?映画「寅さん」アイデアを盗まれた
騒動については、こちらの記事間に掲載されています。
>>映画寅さん 横尾忠則氏が「山田監督のアイディア盗用」に激怒
まあまあ長いので、読むの面倒だよって人のためにまとめると、
- 横尾忠則氏と山田洋次監督はもともと仲良し
- 2人がの行きつけの蕎麦屋で、山田さんが「渥美さんなしに寅さんは撮れない」と寂しそうに漏らす
- 横尾さんが「過去49本の寅さんの映画から抜粋、引用してコラージュすればいい」と提案
- 「じゃあ、寅さんの過去作品を全部観てくれますか」と山田監督が乗り気に
- 「さくらや博、満男にリリーも現役だし、現在の彼らを出演させたらいいですよ。ゲストに『家族はつらいよ』のキャストも出せば面白い。寅さんは幽霊にしたらいいんじゃないですか」というアイディアを出す
- 実際に出来上がった作品は、基本的にはこのアイデア通り(途中、横尾さんへの連絡はなし)
- ゼロ号試写を観た横尾さんが激高
- 「本件の経緯、踏みにじられた友情や仁義について切々と綴った」抗議の手紙を横尾さんは山田監督宛に送る
- 山田監督はその手紙を持って横尾さんのアトリエを訪問し、謝罪する
- 山田監督は、「名前を出すと忙しい横尾さんに迷惑がかかるから」と答える。説明が二転三転した末に、「これからの取材ではちゃんと横尾さんのことを言います。今度こそ一緒に映画を作りましょう」と声をかける。
- 横尾さんの名前が出されたのは、公開直前の12月19日に行われた完成披露試写会での記者質問から。
- 上記は、横尾さんから山田監督へ抗議の手紙を送った後なので、横尾さんは不信感を持つ
- 「芸術作品の根本はアイディアとコンセプトに尽きます。それが理解できない山田さんは芸術家ではありません」と横尾さんは山田監督をばっさり。
- 横尾さんは、「事実を隠蔽されたから怒ってるんではありません。モノづくりに携わるアーティスト同士のモラルが、あまりに欠けてることに呆れ、憤ってる」とのこと。
とまあ、だいたいこんな感じです。
横尾さんはアート作品の技法のひとつである「コラージュ」を自作にもよく用いていますが、映画も過去の映像を継ぎ接ぎすることで新しいものが作れると助言し、
それに山田監督を刺激を受け、それが『おかえり寅さん』アイデアの根源になったようですね。
山田洋次監督の真意は?
山田監督を擁護するわけじゃないけど、普通に考えたらこれだけ世間的に注目が集まっている「寅さん」の久々の新作だし、アイデアをまんまパクったらバレるのはわかるので、悪気はなかったんじゃないでしょうか。
まして、相手が一般の人でも一騒動になると思うけど、世界的なアーティストの横尾忠則さんです。
ただ、横尾さんが怒るのもわからんではない感じで、当初、「じゃあ、寅さんの過去作品を全部観てくれますか」とか言っておきながら、その後その話には一切触れず、
いざ蓋を開けてみればアイデア通りという感じだと、さすがにいい気分はしないでしょう。
(しかも、その間、お二人は何度も顔を合わせてるわけですし)
さいごに
今回の騒動、横尾さんの申し立てに対して山田監督が否定をせず、素直に非を認めたのが唯一の救いですね。
(逆に、反論しようがないという見方もありますが)
話は変わりますが、僕も横尾さんの作品は大好きで、ポスターも何枚か所有しています。
ただ、この前実家に帰ったら、昔買った映画のポスター(完全なる飼育)が勝手に捨てられてて、めちゃショックを受けました…。
(ぜんぜん価値わかってない…)